管理人ちはやの気侭日記。
禁・海賊行為。
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誰のものとも知れない一生が傍らを駆け抜けていく
全てにおいて自分のそれを上回っている気がして
ひとつ、舌打ち
俺はまだ死なない
走馬灯のように自分の過去が垂れ流される
最早名前すら覚えていない顔に罵られて
ゆるく、拳を握る
俺はお前を待っている
長すぎる道を長いと感じる感覚も磨耗している
道端の雑草をいとおしいと感じてしまって
小さく、鼻で笑う
傍のお前に必衰を感じる
周りのものがひとつまたひとつと減っていく
増加がいつ逆行し出したのかも覚えていなくて
帽子を、目深に被り直した
狭まる視界にお前が歪む
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私と一緒に旅に出ない?
そう言ってあなたは笑っていた
私が頷けないと分かってる癖に
そして私が羨ましいと思っていることも
あなたと一緒に海が見たいわ
切なげに目を細めてあなたは言った
海の本当の青さなんて知らない癖に
かと言って私が知っているわけでもないのだが
あなたと一緒なら何処までだって
遠い未来を夢見てあなたは呟いた
目的地なんて見えてやしない癖に
別に止まる気なんてないんだろうけど
さいごの夕日をあなたとみたい
そうして私は愛しいあなたの膝元に
傅いて足を取って口付けるのです
一分一秒でもはやく、あなたの傍から離れたい
「待つのも待たせるのも苦手なの」
「だから奪いに行くことにしたわ」
耳元で愛と希望が大音声で鳴り響く
随分と安くなったものだ
冒険活劇とかミステリーとか
程よいスリルと過多な希望
お幾らですか、あなたの財布の中身の三分の一で結構です
ポケットの中に五百円玉
太陽に焦がされたアスファルトを踏みしめる
灰になった誰かが風に流れる
残るのは線香のようなあの独特な臭い
姿を失った誰かの影だけが残っている
踏み付けていくのはどぎついピンクのハイヒール
これからデートですか、今しがた彼をふってきたところよ
赤いインクは絶縁状
電子音が耳から脳へ伝う
鳴り響いていた愛とか希望が喧騒に変わる
耳を塞いでいた栓を外す
それでもこの目を覆うフィルターは外せない
これを外したいのですが、亡くしたら何も見えなくなってしまうだろう
世界を写した色眼鏡
命の源を百円玉と交換する
随分と高くなったものだ
利益とか機能性とか
ブラウン管の向こうでは必要ないと叫ばれている
あなたには要らないんでしょう、でもあなたには必要でしょう
喉を潤すのは泥の水
必要不可欠なものほど下らなく見せる自己欺瞞
敬われるもの程嫌われる
不必要なものほど大切に見せる自己弁護
優しいもの程毒がある
助けが必要ですか、見返りに何を望むんだ
心を打ち抜くのは愛ではない
「あなたの心を奪いにいったわ」
「だけどこの手に残ったものは」
”キミは平気でも僕が痛いよ”
そんな台詞に、既視感。
かつて私が、貴方に贈った。
”自分を傷つけるくらいなら私を刺してよ。その方が私は痛くないわ”
あぁ。
貴方もこんな気持ちだったの。
馬鹿々しいと笑っていたね、それでも貴方は私を傷つけなかった。
届いていたとは思っていないわ、寄り添えるとは思っていたけど。
そうね、それでも。
止められる筈もなかったんだわ。
君がいなくなった日に傷付けた左手首が、時々存在を主張する。
「あの時の傷も、もう綺麗に塞がりかけてるんだって」
触ってみなきゃ瘡蓋に気付かないくらいに。
「それはちょっと勿体無いかな、また傷付けてみようかな」
今度は皆が気付くくらいに盛大に。
家族が出払った真っ昼間、洗面台の上でやれば大丈夫、皆が帰って来る前に後始末して、傷痕はリストバンドで隠せば良い。
リストバンドに見合うくらいのお洒落な服着て、帰って来た母と入れ違いで出かける。
「ちょっと本屋にでも行って来ます」
玄関出たところで振り返って、
「ごめん鼻血出て洗面台汚れてるかも」
これぞ完全犯罪。
方法は完璧、きっと誰も気付かない。
気付かれたって、別段私は構わないけど、でも君はきっと気にするでしょう?
さあ、この身を傷つける凶器を買って来ようか。