管理人ちはやの気侭日記。
禁・海賊行為。
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「で」
何故、俺に声を?
廃れた茶屋で、軋む縁台に腰掛ける。
看板は廃れていても、出されたお茶は中々だった。
「闇色の長髪に海色の瞳の美人さん」
にこにこ笑いながら、人の顔をジロジロと。
「知ってやすよ。あんた、縷火(るふ)さんでげしょ」
「そういうあんたは」
「火濫(からん)と言いやす」
胸に去来したのは、悲しみと怒りと一抹の喜び。
まだその名を覚えている人間がいたとは。
「・・・人違いでしたかね?」
俺の沈黙を、否定と見たのか、片眉を上げて首を傾げる。
顔には笑み。にこにこにこにこと。
「その名は使ってない。今は天空(そら)だ」
「さようで」
気に喰わない気に喰わない。
縷火と、その名を呼ばれた。
もう昔の記憶。
唯一の人。
眉を寄せて男の顔を見やる。
黒よりは茶に近い肩までの髪に、瞳は光の加減で金にも光った。
全体的に色の薄い男だ。
「では改めて天空殿。今一度刀、握りたくはありやせんか?」
にこにこにこにこ。
ここまで来ると、最早無表情と変わらない。何を考えているのか読めない。
「・・・何を考えている」
致し方ないので、直接本人に聴いてみる。
「先に質問の答えが欲しいですなぁ」
まるで劇中の台詞の様な声が返って来た。
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