管理人ちはやの気侭日記。
禁・海賊行為。
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「あの質問はずるいだろう」
「は。ずるい?」
「刀握りたくはないか、と言うんだろう」
「その通り。今一度人を斬りたいですか、と」
目の前の男の気配が変わる。
懐かしい空気に、理解する。
・・・・・ああ。この男は侍なのだ。
戦場でしか息のできない哀れな生き物。
「武士なら。取りたいとしか言えん」
にやりと笑ってやった。
「さぁ。そっちも答えな」
未だにこにこと笑って、一口お茶を啜る。
「さてさて。何処から始めますかねぇ」
外を子供等が駆けて行く。
けたけたと笑う声と、犬の吠え声が通り過ぎた。
「まぁ、簡単に言えば商人に雇われる用心棒を」
・・・・何を言うかと思えば。
このご時世、刀を提げるのもままならぬのに、どうやら随分と危ない橋を渡るつもりだ。この男。
「公では無い訳か」
勤めて冗談の様に。
男は態とらしく目を見張り、
「まさか。素手で行う用心棒なら問題無いでげしょー?」
どさり。
隣に人が座って来た。棒天振でもしていそうな風体だ、と思ってから、自分と大差無い格好だと気付く。
店の者が小走りに寄って来て、注文を取る。
といっても、この店は茶か団子程度しか無いようだったが。
去って行く店の者を見送って、眼前に思考を戻す。
男は顔に貼り付けた笑みを深くして、微妙に節の付いた言葉を吐いた。
「まぁ、その気になったら西の街の外れ、赤い扉を開いてごらんさい、とね」
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